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教育経済学からみた「基本」の大事さ

《本記事の概要》小さいお子さんをもつ親世代やこれから親になる世代にとって,「教育」は関心が高い話題のひとつだと思います.本記事では,そんな「教育」の問題について経済学の視点から分析をおこなわれた中室牧子著「学力」の経済学という本を紹介したいと思います.

 


学力の経済学

教育経済学とは

教育経済学(きょういくけいざいがく、英: economics of education)とは、教育と関連がある経済事象を取り扱う学問のことである。
教育経済学で取り扱われる問題としては、教育の経済的効果、教育の費用負担、教育における効率性と教育計画、教育の便益に関する分析が主である。教育経済学は、主として1960年以降に発達し、一般的には経済学が母体であると考えられている。
出典:Wikipedia

 

Wikipediaで調べてみると・・・ちょっと説明が難しいですね.噛み砕いて説明してみます.例えば,いわゆる「ゆとり教育」のような教育政策をおこなった結果,子どもの学力が上がったのか下がったのかを調べるために,経済学でおこなわれるように,何千,何万というデータ(学生のテストの結果)を集め,分析するような学問,といったところでしょうか.

 

今回は「学力」の経済学という本をご紹介しますが,著者の中室牧子さんは教育経済学者です.本書の冒頭で,面白い話が紹介されています.中室さんの担当する大学の授業で試験をおこなった際,試験1週間前に「祖母が亡くなりました」といって試験の延期を申し出た生徒が普段の10倍近く増えたそうです.さらに,成績が芳しくない学生の祖母が亡くなった割合は50倍近かったとか.

 

成績の悪い子が試験前に仮病や祖母の急死を理由に学校を休むというのは,どっかで聞いたことあるような話ですが,実際にその数がどれくらいなのかについて,真面目にデータをとっている人がいるのだということに少し驚きました.そして,それが研究成果として,きちんと書籍や論文として発表されているのです.

 

ダン・アリエリー『ずる:嘘とごまかしの行動経済学』
Adams, M. (1999). The Dead Grandmother/Exam Syndrome and the Potential Downfall of American society. Annals of Improbable Research, 5, 1-6.

 

私は仕事柄,理工学系の研究・技術論文を読むことが多いのですが,世の中には面白いことを研究している人たちがいるもんだなと思いました.

教育に対する投資は◯◯期におこなうべき

「いい会社に就職するためにいい大学に入りなさい」なんてことを,私も1回か2回か,親か親戚かに言われたことがあるような気がします.結局私は大学には行きませんでしたが.ここで言う「いい会社」とは,いわゆる大企業と呼ばれる会社だと察しますが,そういう会社に入って平均より高い収入を得られるようになることが人生の成功のひとつとするなら,教育に対する投資はいつおこなうべきだと思われますか?

 

教育経済学の世界には,「人的資本論」という考え方があるそうです.「教育」を経済活動として捉えるとしたら,将来に向けた「投資」と解釈することができるというものです.その考え方に従うと,教育(投資)に力を入れた結果,高い収入を得られるようになる(つまり収益率が高い)ことが良い結果ということになります.

 

なんとなく,就職する時期に近い高校や大学などの学齢の頃に,塾や家庭教師などの教育(投資)を強化することが良いように思われがちですが,教育経済学の観点からすると,幼少期に投資をおこなう方が,収益率が最も高くなるというデータがあるそうです.ただし,教育といっても塾や家庭教師に学べるような勉強だけでなく,人格形成や体力向上なども含んでの話です.

 

基本は大事

ではなぜ,高校や大学での教育よりも幼児教育に投資した方が収益率がたかいのかというと,やはり基本が大事だという大原則があるからのようです.九九ができなければ因数分解はできないし,因数分解ができなければ微分積分はできないというのと同じで,基本となる人格を形成したりする幼少期における教育が最も大事だということを示しています.

 

教育の話になると,本はたくさん読んだ方がいいとかそんなの関係ないとか,習い事はさせるべきとかそうではないとか,いろいろな相反する意見があると思いますが,たいていは個人的な見解であって,本当はどっちが良いのかって分からないことが多いですよね?

 

しかし本書で紹介されている内容は,高いレベルの幼児教育を受けた子どもと,そうでない子どもを長年にわたり追跡調査したデータから導き出された結果ということです.中室さんら教育経済学者の方々がやられるように,膨大なデータを確立された理論・方法に基づいて分析したデータの裏付けがあると,とても納得感のある話になりますね.

 

おわりに

基本は大事.とてもシンプルなことかなと思います.これは教育に限らず共通して言えることではないかと思います.迷うことがあったら基本に立ち返って考えてみると,答えが見えたりするものですよね.

 

私生活や仕事やあらゆる場面で,ミニマリスト的な思考を心がけようとしていますが,二十数年間マキシマリストとして生きてきたせいか,ときどき心がけを忘れた行動をとってしまったり,ミニマルな判断ができない時があります.何がいちばん大事か?常に基本に立ち返る姿勢で生活したいものです.

最後まで読んでいただきありがとうございました.