【名言】ジョージ・カーリンの言葉に学ぶ伝え方
『伝え方が9割』という本の中で著者の佐々木圭一氏が紹介されていた心に刺さる名言をご紹介したいと思います。
なんかおかしい、矛盾してる、間違ってる・・・日々生きていく中で思うことはたくさんありますが、そんなモヤモヤをフッと吹き消してくれる言葉じゃないかと思います。
ギャップを利用した強いコトバ
『伝え方が9割』という本では、人に何かをお願いしたり、感動を与えるような伝え方には技術がありますよ、ということが紹介されています。著者の経験から導き出されたうまく伝わる「伝え方の法則」ですね。
その中でも印象的なのは、ギャップを利用すると強い言葉をつくることができるという話です。有名なところで言うと…
事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!
30代以上の世代なら誰もが知っている名言じゃないかと思いますが、織田裕二さん主演の大ヒット映画『踊る大捜査線』の中のワンシーンで出てきた言葉ですね。
映画の中で、織田裕二さんが演じる青島俊作刑事が警視庁本部の会議室でごにょごにょやってるエラい人たちに対して現場判断の重要性を訴えるシーンです。ここで青島刑事が伝えたいことは”事件は現場で起きている(だから現場判断が重要なんだ)”ということですが、その前に現場とは真逆の”会議室”というキーワードを入れることで、会議室と現場というギャップが可視化され、より現場の重要性が伝わりやすいということですね。
映画の台詞ってそんな細かなところまで計算されて組み立てられているんでしょうか…。すごいですね。
この時代に生きる私たちの矛盾
本書にはこんな感じでたくさんの”伝わる言葉”が紹介されていて
あぁなるほど~
と思うことがたくさんありました。ギャップを利用した強い言葉の中で、著者が最も心を揺さぶられたと紹介している言葉が、ボブ・ムーアヘッド牧師の説教をジョージ・カーリンというアメリカのコメディアンが引用して友人へ送ったとされる『この時代に生きる私たちの矛盾』という言葉(詩?)です。
この時代に生きる 私たちの矛盾
ビルは空高くなったが 人の気は短くなり
高速道路は広くなったが 視野は狭くなり
お金を使ってはいるが 得る物は少なく
たくさん物を買っているが 楽しみは少なくなっている
家は大きくなったが 家庭は小さくなり
より便利になったが 時間は前よりもない
たくさんの学位を持っても センスはなく
知識は増えたが 決断することは少ない
専門家は大勢いるが 問題は増えている
薬も増えたが 健康状態は悪くなっている
飲み過ぎ吸い過ぎ浪費し 笑うことは少なく
猛スピードで運転し すぐ怒り
夜更かしをしすぎて 起きたときは疲れすぎている
読むことは稀で テレビは長く見るが
祈ることはとても稀である
持ち物は増えているが 自分の価値は下がっている
喋りすぎるが 愛することは稀であるどころか憎むことが多すぎる
生計のたてかたは学んだが 人生を学んではいない
長生きするようになったが 長らく今を生きていない
月まで行き来できるのに 近所同士の争いは絶えない
世界は支配したが 内世界はどうなのか
前より大きい規模のことはなしえたが より良いことはなしえていない
空気を浄化し 魂を汚し
原子核を分裂させられるが 偏見は取り去ることができない
急ぐことは学んだが 待つことは覚えず
計画は増えたが 成し遂げられていない
たくさん書いているが 学びはせず
情報を手に入れ 多くのコンピューターを用意しているのに
コミュニケーションはどんどん減っている
ファーストフードで消化は遅く
体は大きいが 人格は小さく
利益に没頭し 人間関係は軽薄になっている
世界平和の時代と言われるのに 家族の争いはたえず
レジャーは増えても 楽しみは少なく
たくさんの食べ物に恵まれても栄養は少ない
夫婦でかせいでも 離婚も増え
家は良くなったが 家庭は壊れている
忘れないでほしい
愛するものと過ごす時間を
それは永遠には続かないのだ
忘れないでほしい
すぐそばにいる人を抱きしめることを
あなたが与えることができるこの唯一の宝物には 1円もかからない
忘れないでほしい
あなたのパートナーや愛する者に「愛している」と言うことを 心を込めて
あなたの心からのキスと抱擁は
傷をいやしてくれるだろう
忘れないでほしい
もう逢えないかもしれない人の手を握り
その時間を慈しむことを
愛し 話し あなたの心の中にあるかけがえのない思いを分かち合おう
人生はどれだけ呼吸をし続けるかで決まるのではない
どれだけ心のふるえる瞬間があるかだ
英語の原文はこちら。
The Paradox of Our Time
The paradox of our time in history is that we have taller buildings, but shorter tempers; wider freeways, but narrower viewpoints; we spend more, but have less; we buy more, but enjoy it less.
We have bigger houses and smaller families; more conveniences, but less time; we have more degrees, but less sense; more knowledge, but less judgment; more experts, but more problems; more medicine, but less wellness.
We drink too much, smoke too much, spend too recklessly, laugh too little, drive too fast, get angry too quickly, stay up too late, get up too tired, read too seldom, watch TV too much, and pray too seldom.
We have multiplied our possessions, but reduced our values. We talk too much, love too seldom, and hate too often. We’ve learned how to make a living, but not a life; we’ve added years to life, not life to years.
We’ve been all the way to the moon and back, but have trouble crossing the street to meet the new neighbor. We’ve conquered outer space, but not inner space; we’ve done larger things, but not better things.
We’ve cleaned up the air, but polluted the soul; we’ve split the atom, but not our prejudice.
We write more, but learn less; we plan more, but accomplish less. We’ve learned to rush, but not to wait; we have higher incomes, but lower morals; we have more food, but less appeasement; we build more computers to hold more information to produce more copies than ever, but have less communication; we’ve become long on quantity, but short on quality.
These are the times of fast foods and slow digestion; tall men, and short character; steep profits, and shallow relationships. These are the times of world peace, but domestic warfare; more leisure, but less fun; more kinds of food, but less nutrition.
These are days of two incomes, but more divorce; of fancier houses, but broken homes. These are days of quick trips, disposable diapers, throw away morality, one-night stands, overweight bodies, and pills that do everything from cheer to quiet to kill.
It is a time when there is much in the show window and nothing in the stockroom; a time when technology has brought this letter to you, and a time when you can choose either to make a difference, or to just hit delete…
本当に大切なコト
ジョージ・カーリンは最愛の妻を亡くしたとき、この言葉を友人に贈ったそうです。この言葉の中で示されているように、世の中の発展に伴って大切なものが失われているのが現実なのだと思います。
そして、頭の片隅でそのことを理解しつつも、「時代の流れ」とか「生まれ育った環境」とか、何かのせいにして問題を直視しないようにしている人が大半ではないかと思います。自分も他人のことを言えた立場ではなく、そんな「時代の流れ」に流されている一人だと思います。
大切なことは、ジョージ・カーリンの言葉の中に書かれている通りだと思います。それに目を向けて、行動を変えられるかどうかは、自分次第です。大事なことを情報として知ることができる人は大勢いますが、大事なことに向かって一歩踏み出せる人はほんの一握りの人かもしれません。
僕の尊敬する人物のひとりで、ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカ氏は、「世界は変えられないかもしれないが、自分自身は変えられる」というようなことを言われていました。
うまくいかないことを時代や環境のせいにして、こんな世の中だから仕方がない、とあきらめてしまうより、自分ができる小さな行動を起こしてみたいなと思います。
ムヒカ氏の言葉を借りると、「人間は幸せになるために地球にやってきた」わけですから、自分にとって本当の幸せは何か?それを常に考え、行動に移せる人間に、なりたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。