【具体例】ホールドアップ問題は職場でも日常的に起こり得る⁈
僕は『ホールドアップ問題』という言葉をビジネス書作家の木暮太一さんの著書の中で初めて知りました。投資の世界ではよく使われる言葉みたいですが、職場や日常生活の中でもこのホールドアップ問題に直面することはよくありそうです。
ホールドアップ問題ってなんだろう?具体的には、どういうこと?
という疑問をもってこのページを訪れてくれたことと思います。この記事では、木暮先生の著書から学んだホールドアップ問題の具体例について考えてみたいと思います。
ホールドアップ問題とは?
木暮先生の著書によれば、ホールドアップ問題とは、交渉の場において、選択肢がないために相手に従わざるを得ないという状況のことをいうそうです。Wikipediaでは、こんな風に説明されています。
ホールドアップ問題 ( -もんだい、hold-up problem) とは、いったん行われてしまうと元に戻すのが難しく、しかも交渉の相手の強さを増してしまうような投資に関して発生する問題である。主に不完備契約(内容が不確実であるような契約)において発生する。(以下略)
要するに、契約や約束事が不完全なために交渉の余地がなくなってしまい、どちらに転んでも自分が不利益を被るような状況になってしまうことかな?と思います。
うーん…わかったような、わからないような…ひとことで言うなら、お手上げ状態!ってやつですかね。
日常生活の中のホールドアップ問題
何か日常生活の中で分かりやすいたとえ話はないものか…と思い、ちょっと事例を考えてみました。
眼鏡がないと生活できない僕が不注意で眼鏡を壊してしまい、新しい眼鏡を支給手に入れたい状況になりました。
裸眼では何も見えないので、急ぎで僕に合う眼鏡をつくって下さい!とにかく急ぎで!今日欲しいんです!
と言って近所の眼鏡屋さんに駆け込みました。眼鏡屋のおじさんは、
それは大変…でもお任せ下さい。すぐに作ってさしあげますよ。
ということで、おじさんは僕の視力を測るとすぐ店の奥へと消えていきました。急ごしらえでレンズをフレームにセットしてくれているみたいです。
出来上がった眼鏡は、自分が今まで使っていたものとそっくりなものでした。が、どうやらメガネフレームは今まで使っていたものよりかなり高級な物を使ってくれたらしく、値段を聞いてちょっと驚く僕。
(え…特急対応とは言え、こんなに高いのか…)
お客さん…急ぎ作ってくださいとのことでしたから、今のフレームと同じようなデザインの眼鏡を急ごしらえで作らせていただきましたよ。
でもお値段にご納得いただけないとなると、困りましたね…。お値打ちなフレームもありますが、納期は1週間くらいかかりますがよろしいですか?
僕は眼鏡がないと生活できない。でも、創ってもらったメガネは想定外の高級眼鏡になってしまいました。いまこの眼鏡を買えば今月の僕のお給料が吹き飛んじゃうけど、ここで買わなければ不便な生活を強いられることになる。
どちらにしても辛いな…
(このお話はフィクションです)
最初に値段も提示せずにいきなり高級フレームを使って眼鏡をつくっちゃう眼鏡屋のおじさんは相当あくどい商売をしている気がするし、そんな眼鏡屋さんは実在しないと思いますが…
例えばこの話みたいに、眼鏡を買っても、買わなくても、最初にちゃんと「価格は○○円以内で」という取り決めをせずに話を進めてしまったばっかりに、どちらにしても自分に不利な選択肢かなくなってしまった、というのが、ホールドアップ問題といわれる状態です。
会社で起こり得るホールドアップ問題
“会社人”は要注意
木暮先生の著書の中でも書かれている話ですが、ホールドアップ問題は現代の会社での働き方にも関係する話です。とくに、いまの会社に長く勤めている“会社人”は注意が必要です。
長く勤めているほど、その会社に馴染んだ“会社人”になってしまっているものです。社内では、長くやっているだけあって”仕事ができる人”の枠に入れているかもしれませんが、もし転職して会社の外に出たら、一転して”死後音のできないヤツになってしまうかもしれません。
よく言われる話ですが、いまの会社でしか通用しないような仕事しかしておらず、応用の利かないスキルばかりを身に着けていると後々困りますよ、という話です。(自分に言い聞かせるつもりで書いてます…)
人生100年時代と言われ、激変する社会環境の中で、会社のへ近寿命は人の平均寿命より短いと言われます。ということは、労働市場の流動性が低い日本でも、これからは否が応でも複数の仕事をすることになるかもしれません。
そうなったとき、いまの会社でしか通用しないスキルしか本当に持っていないとしたら、当然いまの会社がつぶれかけても、自ら他社へ移るのは難しいです。だからと言って会社に残り続けても、給料は減る一方…では生活が成り立ちません。
まさに、会社に残っても、転職しても、どちらにしてもしんどい状況であり、ホールドアップ問題と言えるかと思います。
“社会人”になるべき
今回ご紹介している木暮先生の著書のテーマは「働き方」なので、そんなホールドアップな状況に陥らないために、自分のスキルが他の会社でも通用するように一般化することが大事ですよ、ということです。
日本では就職ではなく“就社”ということをよく言われますが(いま30代後半の僕たちくらいまでの世代は特に)、今の会社だけじゃなく、社会で通用する人に成長して初めて、本当の意味で“社会人”と言えるのかもしれませんね。
”会社人”ではなく、”社会人”にちゃんと成長していかなきゃいけないと改めて思いました。まぁ、言うは易し、なんですけどね。
おわりに
この本から、ホールドアップな状態にならないように、自分の仕事を一般化することの大事さを改めて学びました。一般化ってそんなに簡単なことではないように思いますが、常に意識すれば、すこしは一般化までの道のりを短縮できるかもしれませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。木暮太一先生の本はとても分かりやすく読みやすい内容のものが多いので、気が向いたらぜひ読んでみてくださいね。